不動産を相続した場合、住む予定がない、現金にして兄弟で分けたいなどで売却する方がいる一方、どうすべきか迷ってそのままにしているという方も多くいます。どのようにするかはそれぞれのご事情によると思いますが、相続した不動産の売却は通常と手続きが一部、異なることや、何となく所有し続けた場合にデメリットが発生することもあるので注意が必要です。
今回は相続した不動産を売却する場合の流れと、相続不動産を所有し続ける場合のデメリットについてご説明します。
相続不動産を売却する際に必要な手続き
1、遺産分割協議書の作成
相続人が複数いて遺言書がない場合は、遺産分割協議書を作成するところから始まります。遺産分割協議書というのは、相続人全員が参加して遺産分割案を取り決め、その内容に合意したことを証明する大切な書類です。後々のトラブルを防止するのはもちろん、相続登記や相続税の申告などでも必要になります。
2、相続登記(不動産の名義変更)
不動産を相続した場合に必要なのが相続登記(名義変更)です。手続きの期限は設けられていませんが、相続登記によって「この不動産は自分のものだ」主張することが出来るようになります。相続登記は義務ではなく権利なんですね。
一般的な登記手続きは、登記申請書や相続関係説明図、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明、固定資産税の評価証明書などの必要書類を準備して、法務局に申請します。相続登記には、登録免許税という費用がかかります。固定資産税評価証明書の土地の価格に0.4%をかけた金額が申請する際に必要です。
この手続きが完了していない場合、売却することはもちろん、担保にしてお金を借りることもできません。また他に相続人がいた場合、自分の持ち分だけ勝手に売却する恐れもありますし、将来的に相続人が増え、いざ登記しようとした際、手続きが困難になる場合も出てきます。不動産を相続したら出来るだけ早く手続きしましょう。
相続した不動産の売却は、こうした手続きの部分が通常の売却と異なります。相続登記は時間がかかるので、不動産を相続して売却を考えている場合は、早めに手続きするようにします。そして手続きの前後に複数社に不動産の査定を依頼。あとは通常の売却同様、不動産会社に依頼して販売活動を行っていきます。
相続不動産を所有し続ける場合のデメリット
不動産を所有している場合、たとえ使用していなくても評価額の1.4%の固定資産税を毎年、支払わなければなりませんし、滞納した場合は役所から督促が来て、最終的に差し押さえになってしまうリスクも出てきます。また、電気や水道を引いている場合は使わなくても基本料金がかかり続ける他、草刈りなどの管理を依頼すれば、そうした金銭的負担も定期的に必要になってきます。
そして建物は年数の経過とともに価値が下がっていくので、使用せず放置するほど、資産価値もどんどん低下していきます。
こうしたことから不動産を相続した段階で、所有しておく必要があるのかを念入りに検討し、明確な目的がない場合は、手放すという選択肢も前向きに検討することをおすすめします。
相続した不動産の売却は、相続登記(名義変更)や相続税などの専門知識が必要です。売却をする際は安易に査定額の高さだけ選ばず、相続不動産を扱った経験が豊富で、誠実に対応してくれる不動産会社を選ぶことがポイントになります。
相続した不動産についてご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。